COLUMN コラム
【TV取材】
お子さんの脱毛について
先日「お子さんの脱毛」についてチューリップテレビ様の取材を受けました。
最近では「キッズ脱毛」という名称まで広く使われるようになってきたようですが
お子さんをお持ちのみなさまからは
「子どもが脱毛しても安全なの?」
「まだ小さいのにレーザー脱毛までする必要がある?」
「子どもが脱毛したいと言い出して困っている」
といった声がよく聞かれます。
取材でお答えした内容を含め「子供の脱毛」について解説します。
1.医療脱毛の適正年齢はある?
医療脱毛についてのはっきりした年齢制限はありません。
ただし、私としては、二次性徴が終わり、身長の伸びがストップするころ、女の子では15歳くらい、男の子では16歳くらいからが適切ではないかと考えています。
医療脱毛は効果が高く、長続きするというメリットはありますが、施術に痛みを伴うこともあるため、リスクについてもよく考えたうえで、お子さんと一緒にどうするかを決められるとよいとおもいます。
2.第二次性徴の前に医療脱毛をすることは意味があるの?
第二次性徴が終わる前に医療脱毛をうけても、大人になったときにまた毛が生えてくることがあります。できるだけ少ない回数で終わらせるためには二次性徴が終わってからをおすすめしています。
ただし、本人がとても気になってコンプレックスに感じていたり、周囲の状況を考慮して、健康上のリスクがなければ15歳未満でも脱毛することがあります。最終的にどの時期がいいのかは親子でよく話し合ってください。
3.医療脱毛とエステ脱毛の違いは?
医療脱毛は強いレーザーなどで、毛根を破壊して脱毛する医療行為です。施術をする人は、医師または医師の監督下にある看護師に限られています。
エステ脱毛とは光などを使い、減毛や除毛をすることで、施術をする人はエステティシャンになります。エステ脱毛では、毛根を破壊する医療行為相当の強い出力を出す機械は使用できません。
それぞれにメリット、デメリットがありますが、エステ脱毛は比較的低価格で受けやすいイメージがあるかと思います。一方で、肌トラブルが起きたときなどの対処や、そもそもトラブルが起きないようにするための見極めは形成外科専門医だからこそできることだと思っています。安全性を重視し、手入れが必要ない状態を目指される場合には医療脱毛を選択されるのが良いのではないでしょうか。
◎【参考】各種資料
・平成13年厚生労働省通達
「用いる機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線又はそのほかの強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛頭部、皮脂腺開口部などを破壊する行為は“医師法17条違反”である」
コメント:脱毛は医療行為であり、エステサロンでの医療脱毛と同じレベルの脱毛は禁止されています。
・エステティック振興協議会「美容ライト脱毛自主基準」
「美容ライト脱毛とは、除毛・減毛を目的に皮膚に負担を与えず毛の幹細胞を破壊しない程度で、エステティックサロンで行われる光脱毛という」
コメント:エステサロンで行うことができるのは光を照射すること等による一時的な除毛・減毛など、医行為に該当しない範囲の施術のみです。高い脱毛効果を得ることは、毛根の細胞を破壊する「医療行為」にあたるため医療機関でしか行うことができません。一方、効果のたかい医療脱毛では、まれに肌トラブルが起きる可能性があります。形成外科や皮膚科の専門医がいるクリニックであればトラブルが起きた際もすぐに医師の診察を受けることができるため安心です。
4.子どもの脱毛で注意すべき点は?
脱毛するかかどうか決める前にお子さんといっしょに情報収集をしていただき、ほかの選択肢についても親子でしっかり話し合ったうえで、最終的にどうするかについては、お子さん自身がよく理解し納得できるような選択をすることが大事ではないかと思っています。
5.子どもの脱毛について相談したい場合はどうすればいい?
まずは形成外科または皮膚科専門医が常駐していて、医療レーザー脱毛の施術が受けられるクリニックにご相談されることをおすすめします。施術するかを決めるまえに専門医による診察や説明がきちんとあって、アフターフォローが受けられるかどうかを確認してください。
◎【参考】海外の事情
最後に、米国を代表する病院である「メイヨークリニック」のホームページにとてもわかりやすいQ&Aが掲載されていました。国がかわってもでも親の悩みはあまり変わらないようです。
上記リンクから全文をご確認いただけると思います(英文)。ここではその一部を抜粋して日本語訳したものをご紹介します。
質問:
私の娘は12歳で、鼻の下に太く黒い毛が生えています。
娘の年齢では安全ではないのではと心配しているのですが、レーザー脱毛は子供にも安全ですか?
他にもっといい方法はありますか?
回答:
顔の毛を除去するためにさまざまな方法があります。正しくおこなえばどれも安全で年齢制限のあるものはありません。どの脱毛方法も永久的ではありませんが、かなり持続するものもあります。痛みを伴う脱毛法もあります。それぞれの方法の長所と短所をよく考えてから、娘さんと一緒にどれを使うか決めましょう。
思春期は、しばしば女の子の毛の成長を誘発します。しかし、他の要因も毛の発育に寄与する可能性があります。多嚢胞性卵巣症候群や副腎過形成などの一部の内分泌疾患は、体内のホルモン産生に変化を引き起こし、毛の成長を増加させる可能性があります。また、薬の副作用で毛が増えることもあります。
生理不順やにきびがひどいなど、内分泌疾患に関連する可能性のある症状がある場合は、根本的な医学的問題を除外するために、かかりつけの医師に相談しましょう。薬を服用している場合は、多毛が副作用としてあらわれる可能性があるかどうかを確認してください。そうであれば、代替薬について医療提供者に相談することをおすすめします。
毛が通常の思春期の結果生えているものであれば、いくつかの選択肢があります。2~3日おきに毛を剃る女の子もいます。ピンセットで毛を抜くと通常は数週間持続します。脱毛剤と呼ばれるクリームやローションも脱毛の選択肢のひとつです。脱毛剤を一定時間毛に塗ると、毛が溶けます。効果は通常1ヶ月ほど持続します。これらの製品は処方箋なしでほとんどの薬局で購入できます。脱毛剤を使用する場合は、説明書に注意深く従う必要があります。脱毛剤を長く使い続けると、肌荒れ、ほてり、皮むけ、水ぶくれ、発疹などを起こすことがあります。
レーザー脱毛は効果的ですが医療行為ですので、資格を持った専門家のもとで受けてください。施術中、レーザー光線が皮膚を通過して個々の毛包に到達します。レーザーの熱が毛根にダメージを与え、将来の毛の成長を制限します。レーザー脱毛は成長を遅らせますが、永久脱毛を保証するものではありません。毛のない期間を長くするには、通常、複数回の治療が必要です。アフターフォローが必要な場合もあります。
ムダ毛は、女の子にとって大きな不安の種になります。脱毛することで、娘さんの自尊心が高まるかもしれません。しかし、脱毛を始める前に、娘さんが脱毛に納得しているかどうかを確認してください。娘さんが情報を集め、選択肢について話し合うのを手伝ってあげましょう。そして、どうするかは娘さんに選択させましょう。
メイヨークリニック皮膚科、ドーン・デイビス医学博士。
コメント:日本ではあまりおこなわれていないため省略しましたがワックス脱毛や、糸脱毛などに関する説明もありました。治療を受けるかどうかに関しては子どもの自主性を重視している印象です。早いうちから子どもに自立をうながし、自分で決めることをよしとする欧米ならではの考え方によるものかと思います。そのまま私たちに当てはめることは難しいかもしれませんが、参考になる点も多いですね。
総曲輪ビューティクリニック
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監修:
総曲輪ビューティクリニック 院長
佐藤 典子
形成外科専門医